製造業の人の中で、不良品の発生率を下げたいと考えている人は、今回の記事を参考にしてください。不良品が発生するのは偶然ではなく必然で、必ず何かしらの原因があります。原因は1つだけに限らず複数の場合もあるので、原因を深掘りして明確にしましょう。その後は再発防止のための行動を適切にとるようにします。

「5M＋1E」が不良発生の原因？

不良品が発生するのは偶然ではなくて必然なので、必ず原因を明確にしましょう。そして、正しい対処法を見つけましょう。

5M+1Eとは

不良品の発生率を低下させようと考えたときに、何でもかんでも手を打てばよいわけではありません。不良品が発生するのは偶然ではなく必然なので、何が原因で不良品が発生しているのか原因を追究しなければいけません。一般的に不良品が発生する原因は、5M+1Eが原因ではないかと考えられています。

こちらは品質管理の用語で、5M+1E以外にも4Mや6Mが存在します。人、機械、方法、原料、測定を意味する英単語の頭文字がすべてMから始まっています。5つのMが存在するので5Mといわれています。そして、環境を意味する英単語の頭文字がEから始まっています。1つのEが存在するので1Eといわれています。

製造業の品質管理を支える要素

5M+1Eは、製造業だけに用いられている用語ではありません。企業が提供しているサービスの品質管理に活用されています。たとえば、人が原因で不良品が発生した場合を考えてみると、人は機械とは違いミスを犯します。次からミスを犯さないように注意喚起するだけでは再発防止にはなりません。この場合は人がミスした原因を追究します。

不注意が原因だった場合、慣れない機械操作に戸惑ってしまったことが原因、古い設備を使用していて思うように操作ができなかったことが原因など、人が原因で不良品が発生した場合でも、さまざまな原因が明らかになってきます。このように原因を深堀することで、人だけが原因ではなく、機械や設備にも原因があることが明らかになり、機械のメンテナンスや設備投資などの正しい対処法が生まれるようになってきます。

不良品の発生率を下げるにはどうしたらよいか

不良品が発生したらすぐに対策を検討しなければいけません。すぐに対策を検討しないと、同じようなことが発生してしまうかもしれないからです。

不良品の原因を調査する

不良品の原因を調査するときは、工程ごとの記録を追ってみるとよいでしょう。どの工程まで正常に稼働していて、どの工程から不良品が発生しているのか調査すると、その部分を重点的に調査できるようになるので時間短縮にもつながります。日常的な業務と並行して不良品の調査を実施するので、できる限り効率的に調査することが求められています。この場合、システムを導入している企業であれば、システムに不良数や不良率が記録されていることもあるので、そちらを確認しましょう。

状況を明確にする

不良品が発生している原因が判明した後は、現在の状況を把握することに努めます。たとえば、機械に原因があることが明らかになった場合、機械の整備状況や故障状況を明確にします。それだけではなく、マニュアルと実際の行動に乖離が生じていないか調査することも忘れてはいけません。たとえば、毎日メンテナンスするようにマニュアルには記載されていますが、実際は2日に1回しかメンテナンスされていないのであれば、マニュアルどおりにメンテナンスしていないことが原因かもしれません。そのため、作業員にヒアリングすることも忘れてはいけません。

対策を検討して共有する

再発防止に努めるために、対策を検討しなければいけません。たとえば、作業員の技術不足が原因だったときは、熟練の作業員を指導係として配置するなどの対策を徹底します。そして、作業員に対策を共有することが大切です。共有するときも、口頭で簡単に説明するだけではなく、新たなマニュアルを作成するなどして、二度とミスしないようにします。

不良率をゼロにするより低くすることに意識を向けよう

現在の不良率を低くすることに意識を向けるように作業しましょう。現実的な数値目標を設定すると、作業員のやる気も向上します。

現実的な数値目標を設定する

不良率0％が理想ですが、現実的な数値目標ではありません。もちろん不良率0％を目指して取り組んでいきますが、目標を設定するときは、ある程度の不良品は許容するスタンスが好ましいでしょう。

たとえば、100万個の製品の中で3個の不良品が確認される確率は、99.9997％といわれています。120個の製品の中で40個の不良品が確認される確率は68.3％です。これらのことから分かるように、不良率0％は現実的な数値目標ではありません。不良率をやみくもに下げるという発想を経営者サイドは持たないようにしましょう。

まとめ

不良品の発生率をゼロにしたい気持ちは理解できますが、経営者サイドは現実的な数値目標を現場に持たせましょう。あまりにも現実から数値目標が乖離していると、作業員に必要以上の緊張を与えます。また、作業員のやる気が低下してしまうことも考えられるので注意してください。不良品の発生率を下げられるように、システムを上手に活用しましょう。