最近はあらゆる職種でペーパーレス化が推進されています。しかし製造業ではまだ紙媒体でやりとりされる場面も多く、他業種に比べてペーパーレス化に遅れをとっているともいわれています。そこで今回は製造業にペーパーレス化は必要なのか、ペーパーレス化を推進することでどんなメリットがあり、どのように導入していけばいいのかを解説します。

製造業にこそペーパーレス化が必要？

そもそも、製造業においてペーパーレス化は必要なのでしょうか？製造業では契約書や見積書のほかにも設計図や製造指示書などもあり、業務内容の性質からもどうしても紙媒体でのやりとりが根強く、それが結果としてペーパーレス化の妨げになっています。

また、無理にデジタル化をしなくても紙媒体でのやりとりで業務に支障がないことから、あえてペーパーレス化しようという動きも生まれにくく、結果として他業種に比べてペーパーレス化が進んでいないというのが多くの製造業での現状です。たしかに、ペーパーレス化を進めるのは一時的に費用がかかったり、従業員への教育や研修が必要だったりと、簡単なことではありません。現場で働く従業員から「これまでどおりにやりたい」「紙媒体でないと分かりにくい」という反発の声があがることもあります。

しかし、そういったハードルを乗り越えてペーパーレス化を導入すれば、ずっと当たり前だと思ってやってきた作業をしなくてよくなったり、さまざまな面で効率化が進んだり、結果的には従業員の負担軽減に繋がります。紙媒体でのやりとりが多い製造業だからこそ、ペーパーレス化の恩恵で得るものも大きいのです。

製造業におけるペーパーレス化のメリット

では実際に製造業でペーパーレス化を導入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか？代表的なものを挙げてみましょう。

コスト削減

ペーパーレス化を導入すると、当然ですが紙に印刷することが激減するため、これまで印刷にかかっていた用紙代やインク代が削減できます。用紙もインクも1つ1つは微々たるものでも、積み重ねると結構な金額になる消耗品のため、削減できるに越したことはありませんよね。

また、紙の印刷のためにプリンターをリースしている場合は、もし完全にペーパーレス化に移行してプリンターが不要になればリース代がなくなることになり、大きなコスト削減に繋がります。

スペースや手間の削減

紙で保管していると意外に困るのが保管場所のスペース確保です。ペーパーレス化することで保管に必要だったスペースが空き、ほかの用途に使うことができます。

また、これまでは書類を探したり受け取ったりするためにわざわざ人が移動しなければいけませんでしたが、ペーパーレス化されれば手元のデバイスで確認できるため、手間の削減にもつながります。紙媒体は管理に時間や労力がかかり人手も必要ですが、すべてがデータとして閲覧したり扱えたりできれば、紙の整理をしなくてもよくなり、労働力の削減にもなります。

セキュリティ面で安心が増す

ペーパーレス化を進めてすべてをデータで管理するようになると、セキュリティ面で心配だという声もありますが、実際はデータで管理したほうがより安全です。紙は紛失・破損などの危険がありますが、データなら安全に保管しておくことができます。もちろん定期的なバックアップや適切なセキュリティ対策は欠かせませんが、少なくとも「１枚しかない書類を紛失してしまった」というようなことにはならないはずです。

製造業におけるペーパーレス化の実践的な導入方法

実際に製造業においてペーパーレス化を導入する場合、どのような方法で行えばスムーズに済むのでしょうか。

どの部分をペーパーレス化できるのか考える

製造業という職種である以上、どうしても紙でなくてはならないものも存在するでしょう。ペーパーレス化推進といっても無理にすべてをデータ化するのではなく、紙のほうが都合がいい場合はこれまでどおりにするなど、融通をきかせることが大切です。どの部分がペーパーレス化できてどの部分はできないのか、現場の声も聞きながら具体的に考えてみましょう。

段階的にペーパーレス化を進める

ペーパーレス化することが決まっても、一気にアナログからデジタルに移行してしまっては業務に差し支えます。トラブルにもなりかねないので、面倒でも1つずつ確認しながら移行したほうが安心です。

従業員へのフォローや教育をしっかり行う

従業員の中にはペーパーレス化についていけず抵抗を感じてしまう人もいます。「ペーパーレス化したらどうなるか」を事前にしっかり説明し、なるべくスムーズに移行できるように研修の場を設けるなどしましょう。

まとめ

ペーパーレス化を進めることでコストや手間の削減になりますし、さまざまなメリットもあります。しかし、なんでもかんでもペーパーレス化すればいいというわけではなく、実際にペーパーレス化してうまくいくのかどうかをよく考えてから導入することが大切です。長年紙媒体で業務に携わってきた従業員の中には抵抗を感じる人もいるので、そういった人たちのフォローや教育も忘れないようにしてくださいね。